歌が聞こえる

(2012年11月30日の記事)

歌が 聞こえる

起き抜けの、ボ〜〜〜っとした頭で
仕事へ行くための身支度をしている時

キッチンのほうから

歌が聞こえる

ひどい音痴だ...

謙遜などではなく、どうすればあれほど音程を外せるのかと頭をひねるくらい

ひどい

しかも歌っている、その歌は
ちゃんとした(?)歌ではなく
ご本人自作の

『にゃんこにウェットフードをあげるぜ』ソングである。

Wet food time~~♪
Wet food time~~

Kiki chaaan, Koko chaaan
Wet food time~~~

Kiki & Koko’s Wet food time~~~

It’s a good good kitty’s
wet food time~~~♪

キキとココのぶんのエサをていねいに
別々のお皿に入れている音が聞こえる。

にゃーにゃーにゃー!! (はようよこせ!)

にゃんこからは 催促の声。

chotto matte!

...なぜか?? ここだけ日本語なのである。

寝不足で、めちゃめちゃ体はだるく
どよーんとした気分の朝

キッチンで、にゃんこにウェットフードをあげている相方の
この歌が聞こえると

クククッ...

どうしても笑いがこみあげてしまう私。

夫は、この6月に職場でケガをしてから未だに休職中だ。

ヒザの手術は上手くいった(はず)なのだけど
その後の回復が思わしくなく、、、
お医者様からなかなか職場復帰の許可がおりない。

本人は日常生活にはまったく不自由ないが、それでも時折見舞われる痛みに耐えている。

なぜ完治にこれだけ時間がかかっているのか、それを調べるために今週になって再度、またMRIをとった。

今はその結果待ちだ。

引っ越しの際も、仕事でいっぱいいっぱいだった私に代わって
相方にずいぶんとムリをさせてしまったかなあと、、、ちょっと気になっている。

本人も色々と不安はあると思うが
いかんせん、のほほん〜〜としている。

一緒に暮らしてみてつくづく思う。
のほほんとしている人間は、強い。

夫は、41歳のおっさんだ。
高学歴、高収入でもなく
20代前半からシングルファーザーとして一人で幼子を育て、とにかく「生きていくだけで精一杯だった」人だ。
見た目もセクシーでもイケメンでもなく、どっちかというとドラえもん
社交的なわけでもなく、自分をアピールするのも「どヘタ」
友人など数えるほどしかいない。

でも、自分が自分でいて
本当に心地良さそうだ。。。。

肩に全く力が入っていない

「俺ってすごい音痴なんだよねー」と自分で言いながら

堂々と歌っているあたり

しかも毎日歌っている(本当に)。

その歌を聞いて「ククク」と笑いながら、

心のどこかで羨ましく思っている自分が いたりする。

インターネットやソーシャルネットワークが発達した昨今
音信不通だった友と、
何十年という時を隔て 思いがけず連絡が取れたりする。
お互いの人生に全く関与していなかった間に
その古い友は

まさかと思うような不運に見舞われていたり
生死を彷徨うような大病を患っていたり
そして今日まさに
遠く鹿児島にいる大切な大切な友が
愛する肉親を見送ったという
悲しいニュースも入ってきた。。。

私の大切な人もいつか逝ってしまう。
そして私もいつか逝く。
いつかみんないなくなる。

与えられた時間は限られているのだよ、と
今日改めて思いしらされた気がした。

私もいつか逝く。
いつか逝くのに、こうしてわざわざ生まれてきた。

自分が今こうして生きている、その本当の意味なんて
あまりにも難しすぎてたぶん死ぬまで分からない

ただこの年になってひとつ漠然と分かったことは、自分の存在は自分を幸せにするためにあるのではなく、誰か他の人を幸せにするためにあるのかな〜ということ。
そして私も同じように、ほかの多くの人に幸せにしてもらっているのだな〜ということ。

いつか、うんと時が経って自分がこの世を去る時に
私を幸せにしてくれた人たち、それまでの幸せな数々の思い出を振り返るとき

私はおそらく 毎朝キッチンから聞こえた
夫の あの、とんちんかんな歌を思い出すだろう。

自分はそんなふうに

誰かを幸せにできているかな?

今日は一人でも多くの人を笑顔にしよう。

夫の「ニャンコの歌」を聞きながら、そんな事をふと思った朝だった。