結婚をサボる

(2011年1月14日)

シアトルに越してきてから、本当に様々な人との出会いがあったが
その中に素晴らしい翻訳家の方がいらした。お名前は「ヒューイ陽子」さん。

陽子さんは数多くの本を翻訳された方だが、中でも「これがすごくいいわよ!」と
共通のお友達にススメられて読んでみたのが、こちら。
シンプルライフ・シンプルラブ―あくせくする人生から、愛する人との時間を大切にする人生へ

結婚をサボる

中身の良さもさることながら
彼女の言葉のセンスが素晴らしく、ノンストップで一気に読み上げてしまった。

それが1年半ほど前だ。

実はその後、原本も購入して英語でも読んでみた。
こちらがオリジナル。

Simple Loving

Simple Loving

ご覧のように、原題は 『Simple Loving(シンプル・ラビング)』なのだが、訳書のほうは、おそらく日本語としてシックリくるように
『シンプルライフ、シンプルラブ』と改題されている。
こんな事を書いたら著者のジャネットさんに申し訳ないが
私は陽子さんの訳した日本語版のほうが、はるかに深みがあって素晴らしいと感じた。

これも日本語という言語のなせる技。
そして、陽子さんの翻訳者としての才能ならではだろう。

さて、肝心の中身だが
この本のテーマは、ずばり「結婚」。

「結婚」を

成熟した大人ふたりが、努力と親愛をもって共に営む、人生の大事業

と捉えて論じている。

シアトルに越してきてまだ一年も経たない頃に、この本を読んだ。

自分ではかなりの覚悟を持って、夫との人生を決意してやって来たつもりでいたが

「はて、これからどうやってこの人と夫婦になっていけばいいのだろう。私は何をすればいいのだろう。」

と、まだまだ不安も残っている時期だったのだろう。

だから自然とこの本に出会ったのだと、今振り返って思う。

陽子さんの翻訳されたこの本を読んだとき、なんだろな〜、、、
「大変なのがフツー、大変でオッケー!」と励ましてもらったような
または
収拾のつかない考えがあちらこちらに散らばる部屋の中を、きれ〜〜に、スーーッキリ、整理整頓してもらったような

そんな爽快感があった。

昨夜、ベッドに入ってからなかなか寝付けなかったので、久しぶりにこの本を手に取って読んでみた。

パラパラとめくって、ふと目についたページに

「結婚をサボる」という一節があった。

 

(以下抜粋)

〜結婚をサボる〜

肉体が家庭にあっても、心が家庭になければ、結婚をサボっていることになる。次に、結婚をサボっている例をいくつか紹介しよう。

1.【逃げ腰】
この結婚がうまくいかなかったら別れればいいと思っている人は逃げ腰で結婚している。玄関から足が半分でているので、夫婦間に問題が起きても全身で事に当たろうとしない。たとえ本当に別れないとしても心の中でそう考えている人は、結婚をサボっている。フェアではない。

2.【白昼夢】
夫婦や家庭の問題に目を向けないで、こうだったらいいなあ、と夢ばかり見ている人も、結婚をサボっている。結婚を成功させる努力をしていない。

3.【長時間労働】
仕事で忙しいというのは、結婚をサボりたい人にとって便利な口実だ。新婚当初は忙しくても早く家に帰っていたのではないだろうか。家に帰りたくない理由を正直に検討してみよう。

4.【ほかの人と時間を過ごす】
家庭で過ごすよりも、会社の上司や同僚、友人、趣味の仲間、親兄弟、親戚などと過ごす時間のほうが長くないか。その人たちによく思われたいと家庭を犠牲にしていないか。浮気の相手がいるとしたら、とんでもない。そうした人とうまくいくのも道理だ。あなたがそれだけ時間を割き、その人に尽くしているのだから。自分にとって何が大切か見直し、夫婦関係にもっと時間を割こう。

5.【よく病気になる】
誰でもたまには病気になるが、しょっちゅう病気になったり慢性病がある時には、夫婦関係を検討してみよう。病気だったら、夫婦関係に全身で関わらなくてよいし、不平等の人間関係になりやすい。病人は世話をやいてもらうだけで、もうひとりが世話係になる。健全な夫婦関係ではお互いが世話をし合い、平等なパートナーシップが成立する。

6.【テレビをよく見る】
夫や妻を避ける道具としてテレビは実に便利だ。「仕事で疲れているんだから、テレビぐらい見させろよ」というのがよく使われる口実だ。テレビの前でゴロゴロするしかないほど人生が退屈なのだとしたら、自分の人生を楽しくする方法について真剣に考えるべきだ。そんな生き方を続けていると、配偶者が損をするだけでなく、あなた自身も損をする。

7.【酒びたりになる】
これは結婚をサボる方法としてはかなり深刻だ。すぐにでも治療なりカウンセリングなりを受ける必要がある。酒びたりになるのがあなただとしたら、すぐにでも助けを求めてほしい。あなたの相手がそうだとしたら、相手が治療を始めるまで別居すると告げよう。アルコール依存症の人間とは夫婦として機能できないからだ。

8.【過去にこだわる】
夫や妻が過去にしたことが忘れられず許せないとしたら、あなたは結婚をサボっている。相手のしたことがあまりに残酷で、許そうとしても許せないとしたら、あなたはなぜ別れないのだろうか。別れるつもりがないのだとしたら、相手を許す努力をしなければならない。そうでなければ、ふたりとも地獄の苦しみを味わうだけだ。

9.【ソウルメイトは別の人だと思う】
血の通った欠陥だらけの普通の人間は、ソウルメイトとか真実の愛という神秘的なイメージにはとても太刀打ちできない。たとえソウルメイトと巡り会ったとしても、その人もやはり欠陥だらけの普通の人間だったとわかる日が来る。別れた相手とたいして変わりはないことがわかる。だから現在の相手と関係改善の努力を最大限するまで、別れるのは待ってほしい。最大限の努力をするとは、体も心も100パーセント相手との関係にそそぐことだ。結婚をサボらないことだ。自分の問題を見つめることも含めて最大の努力をしてからでないと、次の相手ともまた同じような問題に直面するだろう。

ああ〜、なるほどねえ...と

今夜、このタイミングで自分がこの本を手にした意味が分かったような気がした。

私はワーカーホーリック(仕事中毒)気味だ。
自分でもそれは、充分に自覚している。

仕事は本当に大好きだ。心からやりがいを感じる。

過去に自分の存在意義が見出せなかった時にも、仕事には何度も何度も救ってもらった。
仕事をしている時だけは
「自分は価値ある人間だ」と感じられたからだ。

だが、一度学期が始まると私の生活は「仕事を中心」に回り始めるのは否めない。
ハワイで独り身だった時は、それでもよかったのだ。
でも、今は一人ではない。家族がいる。

夫に理解があるのをいいことに、それに甘えて、実は彼に色んな事をガマンしてもらっている気がする。
それに関して、自分でも後ろめたさを感じていたのだ。
だから、この本の、このページが目についた。

私は「結婚をサボっている」のかもしれない。

夫は、私を選んでくれた。
これだけ多くの女性が世の中に存在するというのに、
もっと綺麗で若くて頭も良くて性格も良い女性がわんさかいるというのに
他でもない、この私を、彼は生涯のパートナーに選んでくれたのだ。
その事実に対して、もっと謙虚でいなければなあと感じた。

明日は金曜日だ。

週末の仕事は相変わらず山積みなのだが
このウィークエンドは、数時間でも相方と一緒に、何かをしよう。
それはたぶん、一緒にスーパーに食料品の買い出しに行くとか
2時間カウチに座って一緒に映画を見るとか
または
ただ一緒にそこに居るだけとか、、、

そういうことでいいのだと思う。

そういう時間は、意識的に作っていかなければ。

だって
陽子さんの訳した本が言ってるように、「結婚」は人生の大事業ですもんね。。。 苦笑

きっと
私がお給料をもらっている職業よりも
ずっと難易度が高く、もっとずっと叡智を必要とする
人生の大仕事なのだと思う。

今日たまたまこのブログを目にして下さった皆さんも
どうか自分の大切な人に

「ホントに感謝している。一緒にいられて嬉しいよ」

と、伝えてあげてくださいね。

 

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